これまたとんでもないアルバム、もはや彼等の「遺書」ともいえるのかもしれない怪作が誕生してしまったサウスロンドンのドープロックスターFat White Familyの最新作。1曲目の"The Archivist"のスポークンに始まり、暴力的なまでに流し込まれるリリックの圧倒的な分量、”Today You Become Man”に明らかな様に、今作はかつてない程に「詩」にフォーカスされたアルバムである。これには作家、エッセイストとして名を馳せたブレインLias Saoudiの文学的野心のエクスプロージョンであり、代償として初期メンバーSaul Adamczewskiの脱退というキズを追ってでも尚到達せねばならなかったいわく付きの作品ともいえる。音楽的にいえば過去イチメインストリームから遠ざかった訳だが(終始Alan Vegaの亡霊がちらつく)、自己満足に反発し、内なる敵を探し求めもがく彼等のアーティストシップにはもはや言葉を失う。このアルバムが運命共同であるFat White Familyの「遺書」だったとしてもそれはそれで納得がいくではないか。
Tracklist: 01. The Archivist 02. John Lennon 03. Bullet of Dignity 04. Polygamy Is Only for the Chief 05. Visions of Pain 06. Today You Become Man 07. Religion for One 08. Feed the Horse 09. What's That You Say 10. Work 11. You Can't Force It