その名はBlack Country, New Road。この無骨なネーミングから察するとヘヴィメタマニアのオヤジ達がぬるいバーボンを飲みながら適当に結成したバンドと思い込みそうになるが無論そうでは無い。〈Speedy Wunderground〉からリリースしたデビューシングル"Athen's, France"のヴァイナルが瞬時にレア化、サックス、バイオリンを含む7人編成の奇特なスタイルと長尺な楽曲、不協和であり催眠的でもあるがその背後にうごめく確かな熱と狂気。反商業的でありながらも着実にその名を広めているのは現在の混乱が手伝ってか、そうかもしれないが否それだけでは無い。物事をより短絡的に伝達する「ネット社会」そのものが混乱の根源ですらある今日において、彼らはテクノロジーの過剰な成長過程で失われてしまった「物語(フィクション)」に再び生命を吹き込もうとしているのである。暗く不透明な世界 (Black Country) に埋もれた新たな希望 (New Road) に彼らは再び微かな光を灯そうと異物を鳴らす、それはいつの時代でも年寄りの役目でなく未来ある彼等の様な若者の使命なのだ。
Tracklist:
A1. Instrumental
A2. Athens, France
A3. Science Fair
B1. Sunglasses
B2. Track X
B3. Opus