「親しみやすさと不変性」という意味で我々はYo La Tengoに一度だって裏切られたことなどない、と断言できる。端的に言って1980年代から作品をリリースし続ける超長寿バンドが今作の様な不朽の名作を未だに作り続けられることは前代未聞どころか奇跡そのものである。しかもこの『This Stupid World』というアルバムに関しても外部のプロデューサー、ゲストの力を借りることなく全ての工程(プロデュ―ス、ミキシング)を自分たちで行っており、「僕たちはただ音楽を演奏したくて集まっただけなんだ」なんておっしゃる始末。本当にそうなんだろうけど、フィードバックがもたらすカタルシス、スリル、示唆的で奇妙なリリック、中毒性のあるメロディ、全方位からみてもこのYo La Tengoというバンドは奇跡そのものではないか。もはや「インディー・ロック界のスピルバーグ」と言っても過言ではない完全傑作2LP。
Tracklist: A1. Sinatra Drive Breakdown A2. Fallout A3. Tonight's Episode B1. Aseslestine B2. Until It Happens B3. Apology Letter B4. Brain Capers C1. This Stupid World C2. Miles Away D1. Untitled (Instrumental)